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オカルト Comments (7)
この「オカルト」はそういった心霊だとか終末思想のある宗教などが実際に人の心に根付いてしまう事を正面から見据えている。
人を妬んだり恨んだりする心の極端な偏狭さ。しかし、その偏狭さを見つめる視線はあくまでもやさしい。だから深く踏み込んでしまう。踏み込めば踏み込むほどに、その深淵は恐ろしい。しかし恐ろしければ恐ろしいほど笑える。
白石監督はいわゆる“Jホラー”ブームの中では後発の監督であるが、エピゴーネン量産に加担する事を避け、先人たちがブームのただ中にいるがゆえに描けなかった領域に踏み込んでいる。
この「オカルト」は「裏ホラー」「グロテスク」「テケテケ」「テケテケ2」と、外れの無い作品を連発している、脂の乗った時期だからこそ出来上がった傑作である。
主演の宇野祥平による怪演が光る。とにかく観ていて、圧倒的な気味の悪さでした。
題名からホラー映画を想像するが、実際はフェイクドキュメンタリーです。
上映前には監督自身の挨拶が在り、「製作した2008年を反映させた…」との言葉通りに、秋葉原事件をモチーフにした始まりから、徐々に派遣問題を取り入れ、遂には“あの”スピルバーグ゛に対する挑戦状を叩き付ける(笑)
まぁ、そこまで大袈裟でも無いんですけどね(笑)
でもカレーと言えばインド。インドと言えばインディー。インディーと言えば…もう笑うしか無いでしよ。
何しろ、ホラー的な雰囲気を出しながら映画は進んで行くものの、“ホラーと笑いは表裏一体”を絵に描いた様に、ところどころでクスクス笑ってしまう。
これって作り手の手のひらの中で転がされているって事で…ちょっと悔しい(笑)
その笑いの要素が頂点に達するのが、映画監督黒沢清が登場してあれこれと蘊蓄を語り始める場面。
本当に仕事選べよ!
楽しかったから許すけれど(笑)
そして後半は一気に笑い無しに突き進む。
実際に起こり得る話でも在るし、現実に観ていて映画館が“その場所”と近いだけに気味が悪い。
そんな可能性を身に感じつつも、肝心の“あっちの世界”の映像がかなり貧弱なのが残念至極。
無理にオカルト映像を加え無くても良かったのでは?
それまでが、低予算を逆手に取ってのアイデア勝負だっただけに、最後の最後で「どうしても取り入れなければいけない…」と思ったのかどうかは、当事者では無いので解らないが、逆に低予算による“映像の説得力”の弱さに結び付いてしまっています。
それでも全体的には面白かったし、楽しませて貰えてかなり満足感は在りました。
(2009年4月1日ユーロスペース/シアター1)