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ヒッチコックの映画術 Comments (13)
一方、本作「ヒッチコックの映画術」は、1922年の初監督作「第十三番」から100周年にあたる2022年に企画された英国発のドキュメンタリーで、メガホンを託されたのは「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」のマーク・カズンズ。19世紀末~2000年代の120年の映画史をまとめた著書「The Story of Film」や、これを基にした計15時間のドキュメンタリーシリーズ「ストーリー・オブ・フィルム」を監督するなど、映画史の膨大な情報を整理し要約する能力に長けた職人だ。
代表作だけでなく初期作品などの本編映像もふんだんに使用し、「逃避」「欲望」「孤独」「時間」「充実」「高さ」という6章構成で、テーマ別にヒッチコックの意図や編み出した技法を解き明かしていく。“ヒッチコック自身が語る”体で作られているが、実際には物真似が得意な英国出身俳優アリステア・マクゴーワンがナレーションを務めた。ただ残念ながらぼそぼそした語りが単調で眠気を誘ううえ、ヒッチコックのあえぐような息継ぎまで模写した音が個人的には耳障りだった(そこまで完コピしなくてもいいのに…)。ヒッチコックの写真も同じものが何度も映し出され、120分が余計に長く感じられてしまう。
とはいえ、鑑賞済みのヒッチコック作品でも、視点や構図、背景などについての意図や仕掛け、込められた象徴性などを聞いてなるほどと気づかれることも多く、とくに映像作家志望の若い層には大いに参考になりそうだ。単にヒッチコック映画が好きという向きにも、より深く作品を味わううえで得るものが多いだろう。時間があればまず「ヒッチコック/トリュフォー」を配信などで鑑賞し、それを補完する位置づけで本作を観るとバランスがよいように思う。
どんな優れた理論より
映画を楽しむに、限る!
彼の物語(映画)が、彼の頭の中で
そして、創作、制作の中で
どうかたちになったのか?を
知る必要は、ないのかも。
ヒッチコック映画好きには
見る必要は、ないかもね!
亡くなってかなり経ってますので然脚本に合わせてヒッチコック風に吹き替えています。
白黒時代の初期作から晩年作まで幅広く見れたのは懐かしく感じました。
映画術というより映画技術論のような作品でしたので、メイキングやスターの回想インタビュー等は皆無なので映像制作に興味がある方向けの作品でした。
一般の方にはおすすめ度はやや低めです。
ヒッチコック映画、サイコ、鳥、見知らぬ乗客 を見てください。
ヒッチコック映画とは高校時代からの長い付き合いで、初めて観たのは『ファミリー・プロット』(@八重洲スター座)だった。
まだヒッチコック存命中だったので遺作などと思わずに観たが、その後の名画座巡りで数々のヒッチコック映画を観た🎥
あれから45年以上が経っており、ヒッチコック映画は『快楽の園』や中編含めて全作品を鑑賞済で、大半の作品をリピート鑑賞しては「(トリュフォーとの)映画術」や「ヒッチコックに進路を取れ」などなど多数の書籍もリピート読みしている長い付き合い🙂
「本作は、どんな映画か?」が気になって観に行った。
項立てとしては6項目(逃避、欲望、孤独、時間、充足感、高さ)に整理して解説したような映画で、ヒッチコック映画をフッテージとして使用しながら進めていくのだが、全体的に大事な部分が多数すっぽ抜けた感……が鑑賞直後の印象。
2「欲望」でエヴァ・マリー・セイントをグレースと呼ぶ間違いは単純なものであろうが、3「孤独」で展開される孤独論は大いなる違和感あり。
更に、4「時間」におけるヒッチコックの時間の使い方分析にも違和感あった。
オープニングで「脚本&ナレーション:アルフレッド・ヒッチコック」というクレジット表記あり、「お~、ヒッチコック本人が語ってくれるなら…」と期待したのだが、「私が死んで40年が経つが…」なる発言で「なんだ、本人じゃないのか」と思いながら、確かに声も本人の声ではない。
そうした本人に語らせる構成を取っているのに、ヒッチコック自身がどこでも語っていないことが語られるのは有り得ない。
既に逝去された故人の発言ということで、勝手に「ヒッチコックはこう思っていたはず…」論を展開するのはダメ🙅
学生時代から多数のヒッチコック本(20冊超)を45年以上読み続けてきた者にとっては、かなり違和感のある作品になってしまっていて残念😱
初期作『農夫の妻』などを頻繁に取り上げ、有名作の有名シーン抜けが多いものの、いろんなヒッチコック映画フッテージを観たことから「またブルーレイやDVDを引っ張り出して、ヒッチコック映画祭を勝手にしようかな…」と思えたことが、唯一の収穫だったかも知れない。
(※)評点は、ヒッチコック映画フッテージに付けた。
<映倫No.49839>