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ニンゲン合格 Comments (7)
黒沢清監督作品はけっこう苦手だったけど、先日見た『トウキョウソナタ』もよくて、これも面白かった。なんだかクセになりそうな魅力が分かってきたような気がする。特に長回しで固定カメラで人が出たり入ったりする場面がふざけていて面白い。
中学生の心のまま大人になってしまった人の感じがすごくした。
最初見終わったときは、「何だ、この映画?」と感じた。
しかし、振り返って色々考えてみると、かなり奥深い映画だった。
10年植物状態だった少年が目覚めて、家族との絆を何とか取り戻そうとする。
キーワードは「失われた10年」って言葉。
この作品が作られたのは1998年。
まさにバブルが終わり、「失われた10年」とか言われてた時代だ。
団塊ジュニア世代の自分としては「就職氷河期世代」などとまとめられる時代でもある。当時は実感してなかったけど。
主人公の名前が「豊(ゆたか)」なのも暗喩だろう。
失われたバブルよ、もう一度と、令和になって、あれから30年経った今でもその過去の幻想(記憶)にしがみ付いている人間がいることに驚く。
14歳で植物状態になったのも暗喩っぽい。中二の歳だ。
まさに「中二病」のように、ファンタジーの世界に浸り、現実を見ない大人たちを揶揄しているみたい。
ただ、この設定はおまけ程度のものかな?
メインストーリーは家族再生だと思う。
西島秀俊という俳優は今の大人のイメージしかなかったけど、こんな若い時代から黒沢清映画に出てたのか。
最近になって黒沢清映画を観始めた自分としては、そこが結構新鮮。良い演技だな。
少年のような、青年のような、難しい主人公の役をうまく演じている。
作品全体に漂う無機質感は「夢」をイメージしてるのかも。
なんか、フワフワした不思議な雰囲気がずっと漂ってる。そういえば「CURE」にもそんなシーンがあった。
存在が「幽霊」っぽいとも言える。
それが最後の言葉にも現れている。
「俺は存在してたのかな?」
少年の望みは一瞬は叶ったが、彼の家族がもう一度集まることはないのだろう。
それでも良い、というかそれで良いのだと思う。一瞬は叶ったので。
しかし、10年植物状態って設定は不思議な味わいがあるな。
タイムリープに近いけど、ただのタイムトラベルってわけじゃない。その間、彼はたしかに存在していたわけだから。
彼の存在に影響を受けて彼の家族は変わっていったのだろうし。大杉漣が演じる加害者も同様に。
色々考えたら、また時々観返してみようと思えた作品。
シチュエーションもありえなくもなくもないみたいな?
(笑)
まぁ映画だから…
14歳の時に交通事故に遭い、10年間昏睡状態だった男が目を覚ましたら、家族は離散していた。その家族をつなぎ戻そうと奮闘する主人公を西島秀俊が演じてます。事故の加害者である 大杉漣がお前のせいで人生が狂ったと被害者の西島秀俊の家を壊すのがシュール。
#西島秀俊#役所広司#リリぃ#麻生久美子#哀川翔#大杉漣